SHIPS MEN
STYLING
設立50周年を迎えたシップスでは今シーズン、トラッドの原点を意識したアイテムが大充実。懐かしくも新しい佇まいが魅力ですが、肝心なのは、それらをいかにアップデートして着るかということ。そのお手本は、意外や“過去”にありました。ウェルドレッサーの殿堂に名を残すレジェンドたちは、トラッドのスタンダードアイテムを驚くほど自由に着こなしていたのです。偉人たちの実例を教材に、トラッドの今を考えてみましょう。
Safari Jacket
Style of
Ernest Hemingway
サファリジャケットこそ
気負わずに羽織る
ヘミングウェイの真骨頂といえば、ハードボイルドの元祖ともいわれる簡潔で力強い文体。そして装いもまた、質実剛健を絵に描いたようなスタイルでした。洒落着というよりも、実用着や日常着として馴染んだ服。その“板についた装い”が後世の憧れとなったのです。マリンボーダーのカットソーを首元から覗かせながら、開襟のサファリジャケットのサラリと羽織って海を楽しむ装いも、気負った様子は皆無。この自然体な雰囲気が今の時代にこそ響きます。
Update Style
Safari Jacket
1
リゾートテイストを
取り入れてリラックス感を
ヘミングウェイの自然体な魅力を再現するために意識したのが“リゾートテイスト”。アウターは旅にもゆかりの深いサファリジャケットを選びつつ、全体をベージュ〜オフホワイトのトーンで統一することでリラックスした雰囲気にまとめました。ショーツではなくスラックスを合わせることで、街にも馴染む装いに。
Chinos
Style of
David Hockney
骨太なチノパンを
差し色使いでポップに
トラッドかつ抜け感のあるチノパンスタイルといえばウディ・アレンあたりが筆頭格ですが、デイヴィッド・ホックニーの着こなしも大変魅力的。ポイントはやはり、彼の作品と同様のポップなカラーリングにあります。ワイドなチノパンにグレーのカーディガンという渋めな合わせも、ブルーシャツとイエロータイの差し色で印象一変。ラギッドでもナードでもないチノパンのスタイリングが最高にクールです。これは今、ぜひ真似したいところ!
Update Style
Chinos
2
配色はもちろん
シルエットのバランスが鍵
ホックニーのチノパンは一見ルーズなようで、丈や太さのバランスが絶妙。きっと周到に計算されているはずです。そこでおすすめなのが〈エリコ フォルミコラ〉のチノ。適度な太さがありつつ、イタリアらしい美脚ラインも巧みに表現しています。イエロー&ブルーの色使いはホックニーから拝借。袖口をラフにまくるのも忘れずに。
Hawaiian Shirt
Style of
Frank Sinatra
アロハシャツ姿でも
エレガンスを忘れずに
“The VOICE”と称された偉大なシンガーにして、俳優としても名を馳せたシナトラ。色気たっぷりのスーツ姿に加え、映画『地上より永遠に』やTVドラマ『私立探偵マグナム』ではアロハシャツも着こなしていました。印象的なのは、リゾート感満開なシャツにドレッシーなスラックスを合わせていること。ラフな装いでもあくまでエレガンスを意識しているのがスターらしいところです。これはアロハを街着として着る際、大きなヒントになりそう。
Update Style
Hawaiian Shirt
3
アロハ×本格ドレスパンツの
コンビネーションが新鮮
〈レインスプーナー〉のアロハシャツは、今や希少なMade in HAWAII。シップス50周年を記念して、特別に本場での生産を依頼したものです。パンツはサイドアジャスター&インプリーツの正統派ブリティッシュスタイルで、シナトラよろしくエレガンスを表現。レトロスポーティなスニーカーで'80sテイストも取り入れました。
Navy Blazer
Style of
Fred Astaire
正統派の紺ブレを
スカーフ&チーフで華やかに
テールコートやスーツ姿で軽やかに踊る姿がまず思い浮かぶアステアですが、俳優としての活動が増えた'50年代以降はジャケパン姿もしばしば披露。こちらは'60年代後半に撮影された写真です。紺ブレにBDシャツというトラッドの王道的合わせながら、首元にスカーフをあしらって軽快にスタイリング。さらにポケットチーフも挿して華やかさたっぷりに仕上げています。これぞ、折り目正しいブレザーを洒脱に着こなす好例!
Update Style
Navy Blazer
4
無造作感も意識して
軽やかにドレスアップ
ブレザーは50周年を記念して製作した特別な一着。英国の老舗マーティソン社のホップサックを使用し、オリジナルのメタルボタンを配しました。アステアに倣ってスカーフ&チーフのダブル使いで胸元を飾りつつ、あえてピンは使わず無造作に仕上げています。結婚式の二次会など、ハレの場にもぴったりなスタイリング。