SHIPS渋谷店のラッパー、18scottとは? SHIPS渋谷店のラッパー、18scottとは?

SHIPS渋谷店のラッパー、18scottとは?

18scott(ジュウハチスコット)名義で活動する楠本凌士さんは、シップス渋谷店で働くショップスタッフ。そんな彼が、昨年末に音楽プロデューサー/ビートメイカーのSUNNOVAとアルバム『4GIVE4GET』をリリースしたということで、彼の地元・藤沢で話を訊きました。

18scott x SUNNOVA - I.D.N. feat. BASI [Official Music Video]

SHIPS渋谷店のラッパー、18scottとは?

アパレルで働いている人は面白い人が多い

――1st.アルバム『4GIVE4GET』は業界的な評価も高く、さまざまな媒体でインタビューが掲載されていますよね。

18scottおかげさまで、皆さんに尽力いただいて。

――今回、18scottがSHIPS 渋谷店のスタッフということを知って企画が立ち上がったのですが、当初はインタビューを受けないかなとも思ったんです。というのも、アーティストの多くは、昼間の仕事を隠す傾向があるじゃないですか。

18scottそうですね、そこをさらけ出したらラッパーとしての活動に支障が出るっていう考え方ですよね。でも、それは俺にはないです。自分が選んできた道筋に自信があるし、今やっていることも立派な仕事なので。

――SHIPSでの仕事も楽しくやれているということなんですね。

18scott周りの人のおかげで楽しくやれています。自分の友だちとか、一般企業に就職した人のほとんどは人間関係で悩んでいるんですよ。でもアパレルで働いている人は先輩でもなんでも面白い人が多い。僕がやっていることもみんな応援してくれるんです。

――それはいい環境ですね。そもそもSHIPSというかアパレル関係に就職しようと思ったのは何故だったんですか?

18scott洋服が好きだったこともありますけど、一般企業よりは音楽活動をやりやすいのかなって思ったんです。それならば、音楽との相乗効果を生み出せるようにしたいとも思っていたんです。接客業なんでオンオフの切り替えはありますけど、今回こうやって取材があったりと、自分が考えていたことは間違っていなかったのかなって。

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ラップに興味を持ったのは漫画家でもある父親の影響

――ラップやヒップホップに出会ったきっかけは父親だったとか。

18scottそうなんです。父親が漫画家ということもあってか、ヒップホップに限らず幅広く音楽を聴いていて、カルチャー全般に詳しいんですよ。休日はクルマで出かけることが多かったんですけど、毎回「今日の旅のお供はコレ」って感じで父親がMDを作ってきてくれて。そのなかにKREVAさんやライムスター、エミネムなどが入っていたのがきっかけです。

――それはすごい! 漫画家さんは全方面にアンテナを張っていないと、描くことも物語を作ることもできないので、いろんなことに詳しいイメージがあります。今でも親子でよく喋るんですか?

18scottめちゃめちゃ喋りますよ。父親に曲を聴かせることもありますし。

――的確な感想が返ってきそうですね。

18scott的確ではありますけど厳しいですね。「そこまで言う?」ってくらい(笑)

――自身でラップをするようになったのはいつからですか?

18scott高校くらいですね。THE OTOGIBANASHIʼS(オトギバナシズ)のin-d(インディー)が中学の同級生ということもあって、Bim(ビム)と3人で始めました。その後、紆余曲折あって(笑)。今はソロで活動をしています。

――今回のアルバムでタッグを組んだSUNNOVAは、トラックメイカーやDJとして知られていますが、いわゆるヒップホップ畑というわけではないですよね。

18scottそうですね。本来はバンド系の人というか、ヒップホップのなかではアウトサイダーだと思います。

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自問自答しながら生まれた1st.アルバム

――トラックはアンビエント風なものが多くてラップするのは難しそうですけど、ゆえに幅広い層に支持されそうな一枚ともいえます。

18scottそこは意識しました。確かにラップをハメるのは難しいんですけどね。実は、当初からアルバムの全体像は決めていて、『4GIVE4GET』というタイトルも以前から温めていたものなんです。今回はこれまでにプライベートで起きたショックな出来事をテーマに、自問自答してそれを投げかけるような一枚。SUNNOVAさんが無数に送ってきてくれるトラックの中から、テーマに沿った、それでいて聴きやすいものを選んでいきました。

――みんなで騒ぐというような曲というより、ヘッドホンをしながらひとりで聴くのにフィットする感じですね。

18scott自分も、みんなで騒ぐっていうタイプではないので、自然とそうなるのかもしれません。

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2019年「今年はこいつの年だった」と言われたい

――ライブでの人気曲はどの曲なのでしょうか。

18scottMVも作っている『PHONE CALL』は反応がいいですね。一方で、一曲目の『ALLRIGHT』がいいという人もいて。ライブではいつも、『ALLRIGHT』で始まって『PHONE CALL』で終わるんですよ。

18scott × SUNNOVA - ALLRIGHT

18scott × SUNNOVA - PHONE CALL【Official Music Video】

――なるほど、『PHONE CALL』はシンガロングできる曲なので納得です。いまファン層はどんな感じなんですか?

18scottそれが男のファンばっかりなんですよ。この前、Instagramフォロワーの男女比を調べられることを知って、試してみたら7:3で男でした(笑)。でも、正直めちゃくちゃ嬉しいんですよ。ごりごりのB-Boyみたいな奴らから握手を求められるとホッとしますね。

――最後に今後の目標を教えてください。

18scottシーンにいる人や、シーンをよく見ている人には伝わると思うのですが、年末あたりになると「今年はこいつの年だった」という肌感覚があるんです。まずはそこにノミネートしたいですね。あとは、5月にSUNNOVAさんとの2nd.アルバムを出す予定で、年内には他にもいろいろと仕込んでいます。同世代にはいっぱいいいラッパーがいるんで、これまでの遅れを取り戻すためにもガンガンやっていこうと思います。

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PROFILE

SHIPS渋谷店のラッパー、18scottとは?

ジュウハチスコット

1993年生まれ。神奈川県藤沢市在住のラッパー/ビートメイカー。小学生の頃、様々なカルチャーに造詣の深かった父親の影響でヒップホップに興味を持つ。高校在学中、自身のオリジナル楽曲を制作したいと思うようになるが、周りにビートメイカーが居なかったことから自らビートも手掛けるようになる。高校卒業後、ソロMCとして精力的に活動を開始する。藤沢を地元に持ち、藤沢を愛しながらも、既存の藤沢のヒップホップ・シーンに関わることなく活動してきた稀有なMC。核心を突くリリシズムとメロディアスなフロウを得意とするアーティスト。