SHIPS KIDS
FEATURE
家族を紡ぐリメイク服
どのショップにも売っていない、自分だけのオリジナル。思い入れがある服や生地をリメイクして大切なキッズに着せたとき、それはさらにスペシャルなものに生まれ変わります。今回はそんな風にリメイクを楽しんでいるママ&キッズにお話を聞いてみました。
Updated 2023.8.2
今回リメイクアイテムを
ご紹介いただくのは・・・

Rei さん

4歳&2歳のママ。
Ireiru デザイナー

エスモードジャポン卒業後、コム・デ・ギャルソンのパタンナーなどをつとめ、2022年にベビー・キッズウェアのブランド「ireiru」をスタート。4歳&2歳の姉妹のママ。

着せる人のことを考えて作ると服作りがもっと楽しくなる

4歳&2歳のお子さんを持つママとして忙しい日々を送っていると思いますが、リメイクを始められたきっかけはなんだったんでしょうか。

「長女があまり手のかからない赤ちゃんで。出産して2、3か月したころ、昼寝もよくしてくれたので、『あれ? 私いま時間あるな』って。手元にあるもので何か作れないかなと思ったのがリメイクのきっかけです。もともと両親ともにアパレル関係の仕事をしていたこともあり、無類のギャルソン好きだったので、自分がその服作りに携われるようになったときは感慨深いものがありましたね」

「着せたい対象がいるから作るのが楽しいですね」とミシンを動かすReiさん。

生まれたときから服作りの世界にいたということですね。Reiさんが始められた「ireiru」もどこかモードなエッセンスが入っている気がします。

「『ireiru』に関しては、単純に自分の“好き”なもの、子どもに着せたいものを作っています。仕事は保育園に預けてている9:00から17:00の間にできることを集中してやっています」

今回紹介していただいたリメイクアイテムもヴィンテージの生地を使用したり、おしゃれ心をくすぐるものばかりです。

「ブルーのギンガムチェックのブルマは、初めて行った海外旅行先で買った古着のワンピースを解体して作ったものです。他にもヴィンテージのカーテンをずっととっておいて、娘のお誕生日に何を着せようかなと思ったときにふとそれを引っ張り出して作ってみました」

普段は自宅のアトリエスペースで黙々と作業しているそう。「あれこれ考えずに純粋な気持ちで作ることで、いいものが生まれるような気がします。丁寧にアイテム作りをすることが自分の気持ちを整えることにもつながっている気がします」

初心者のおすすめのリメイクを教えてください。

「初めての人だったら、形が四角いものがかんたんでおすすめです。古着のワンピースの袖をカットして、それに持ち手をつけただけのバッグだったり、そのぐらいからスタートすると入っていきやすいかも。子どもがお昼寝しているちょっとした時間を使って、ティッシュケースなど、型紙がなくても作れるものからちょっとずつはじめても楽しいですよね」

このボンネットと帽子もすごく素敵です。

「生地自体に思い出があるといいですよね。メトロポリタン美術館でたまたまギャルソンが展示されていたタイミングで新婚旅行でニューヨークへ行ってきたんです。そこで唯一買ったのが古着屋で出会ったワンピースで、このボンネットと帽子はそのときの大切な一着を解体して作ったものなんです。裏地もそのまま使っています」

4歳の娘ireちゃんは、「ireiru」のモデルとして登場することも。

ご結婚されて、お子さんを出産されて、時を経てまた大切なものがリメイク服として生まれ変わる過程がいいですね。

「思い出のある服が形を変えて手元に残るのはうれしいですね。単純に、作ったアイテムのサイズ感に『かわいい!』とよろこんでいるときも。買った洋服を着せたのとはまた違う感情が芽生えてくる。自分が作ったものを着せる喜びは他にないものです」

  • ireちゃん記念すべき1歳のお誕生日は、
    コットン素材のカーテンで作ったワンピースでお祝い。

  • ireちゃん2歳のお誕生日は妊娠中に購入していた
    というヴィンテージの生地を使って作成した
    ワンピースで。

おばあちゃんが送ってくれた生地で
ハンドメイドしたイチゴ柄の帽子とロンパース。
  • 妹さんからもらった古着を解体して作った
    うさみみ付きのボンネット。

  • ハロウィンのコスチュームは魔女の宅急便のキキで。
    真っ赤なリボンもハンドメイド。
    黒のワンピースはreiさんのTシャツの襟ぐりにゴムをつけて着せたもの。

目的のないお出かけも
お気に入りの洋服で特別なものに

「どこかへ移動するときも、部屋着ではない洋服を着せてお出かけするだけで楽しかった記憶があります。特に私が長女と出かける場合はほとんど抱っこ紐に入れていたので、そうすると子どもは顔しか見えないんですよね。そんな中でも可愛い帽子をかぶっているだけでもなんとなく満足感がありました。通りがかりの方に『かわいいですね』と声をかけていただいたことも。産休&育休中は特に社会とのつながりみたいなものも少なくなった気がしていたこともあり、娘を褒めてもらえたことで、なんとなく自分のしていることも肯定された気持ちになったのは覚えています」

ママの洋服を解体して作ったものや、使わなくなったカーテンで作ったもの、おばあちゃんからもらった昔の生地で作ったものなど。子育ての合間の時間にちょっとずつハンドメイドしてきたものたち。

「いつか編み物や刺繍ももっとやりたいと思っていて。老後の楽しみですかね。子どもができて始めたことが自然と今の仕事につながっていて。自分では想像していなかったことだらけで不思議な気持ちです。今は目の前にいる子どもたちとの時間を大切にしながら、楽しんで作り続けていけたらと思います」